2019年8月29日、若い女性がキャリアを築いていく上でのサポートを目的とした交流の場である「WOMEN @ DIOR」メンタリングプログラムが東京で開催されました。女性として働くことについてのキャリアアドバイス、自分自身の「特異性」の大切さを探求するワークショップなどを通じた感動的なイベントでした。

  • 2017年にパリで開幕された「WOMEN @ DIOR」は女子学生が自分自身の内面を知ることで自身の可能性を解き放ち、キャリアを切り開き、そして独自のネットワークに参加することができるインターナショナルなプログラムです。今年、日本でも公募によるエントリーを取り入れて開催されました。当日は社員メンター4名と学生参加者26名が集まりました。参加者は2020年の新卒内定者10名と面談を経て選抜された学生が16名。また、今回からは初めて男性のメンターも加わり、今後より発展的なプログラムとなります。

    プログラムの内容としては参加者の中から選抜されたメンティー学生にメンターが付き添い、定期的にミーティングを行い、キャリアや個人的な目標についての意見交換をするなどの充実した支援プログラムとなっています。参加者たちにとっては幅広い職業経験のメンターから、リテール、マーケティング、IT、ビジネスなどについての洞察を受けられる貴重な機会となります。

    今回のイベントでは、フランスのジャーナリストであるフローレンス・サンディスさんがワークショップを、株式会社ポピンズの代表取締役社長 轟麻衣子さんが英語でスピーチを行いました。

  • ウェルカムスピーチはクリスチャン ディオール株式会社 代表取締役社長のステファン・ラフェイさんから会社のミッション・ヴィジョンについてお話しいただきました。「女性を美しくするだけではなく、より幸せにする」... クリスチャン・ディオールが回想録に記していたこの使命を守りながら、女性をこれからもっと応援する社会を作ることを目指している、と日本語で語り、参加者がリラックスできるよう和やかな雰囲気をつくり出していました。

    LVMHグループの目標として主要な役職において男女同等制の達成に取り組んでることについてもお話がありました。現在ディオールでは全従業員の約80%が女性であり、管理職については約60%が女性です。「女性が家族ができても働くことができるもっとも良い世界を作るため、オープンな社会・企業文化を作ることが大事である」とのミッションが語られました。

  • 次に、ジャーナリストであるフローレンス・サンディスさんと"Rendez-vous with Myself=私との出会い"というテーマでワークショップが行われました。自分自身しか持っていない "Singularity=特異性"を探し、参加者にこれからビジネスの世界における自信を与えること、そして個人的な目標を達成するための道を作ることを中心としたワークショプでした。各参加者にはプログラムで利用する「WOMEN @ DIOR」ワークブックが配布されました。このワークブックはメンターとの面談で進行状況を確認したり、日記として使用されます。

    ワークショップの前半では、プログラムでも中心となる三つの質問についてワークブックを活用しながら進行されました。



    参加者同士で答えを交換し、一番難しかった質問についてディスカッションをしました。「他の人よりもうまくできることを考える時に、他人と自分を比べないようにすることはやはり難しかった」と言う声がディスカッションであった際、フローレンスさんから、「実際の仕事や自分らしい方法で誠意を表すことが一番大事である」というアドバイスはとても印象的で学生も目を輝かせていました。

    ワークショップの後半では、自分の「特異性」を表現するワークブックのカバーページ制作が行われました。各グループにディオールで使用している布や様々な素材が用意され、参加者は自分の独自性と創造性を表現するカバーページを作りました。使われていた素材は同じでも最終的に出来上がった作品は参加者それぞれの人柄、ビジョン、そして「特異性」が表現されました。そして、「特異性」やキャリアの目標に異なりがあっても、「独自のビジョンと思いやりを育てていきたい」「他の人を助けたい」「最も良い社会・世界を作りたい」という共通の想いがあることにも気づきがありました。(参加者がワークショップで作成したカバーページは2020年Paris Internaitonal Womens Dayの壁画として、展示される予定です)

  • 海外勤務から日本に2012年に戻り、ポピンズの代表に就任された轟麻衣子さんから「自分自身のキャリアを実現していくこと」についてお話がありました。ポピンズは1987年に轟さんのお母様、中村紀子さんが設立された「働く女性をエデュケア(育児・保育)と介護サービスで支援する会社」です。今回のイベントでは轟さんから自身の経験で実現した五つの教訓についてお話を伺いました。

    12歳の時にイギリスの寄宿学校で学んだ第一の教訓としては、「世界を発見することの重要性」。若いうちに海外で仕事や勉強をする機会があればそれを利用すること。次に、英語が完璧ではない中で同時にフランス語を学び始め、壁にぶつかった時の教訓、「自分の可能性にふたをしない、情熱こそが道を拓く」こと。第三の教訓はメリルリンチ勤務時代の「どんな場でもいつも最善を尽くすことで、新たな自分をみつけることができる」こと。第四の教訓は祖父母から教わった、「人生の中の優先順位を持つこと」。最後にINSEAD時代の経験が教えてくれた最も大事な第五の教訓「人生の軸を持つこと」。轟さんは女性の活躍を後押しすること、日本の労働環境下で女性をサポートし、仕事か家庭かどちらかを選ばなくてはいけない状態をなくすことこそが目標だということに気がついたと語ってくれました。

このイベントを通じ多くのことを感じ目線を新たにした参加者の一人一人が、これから社会で新しい女性の生き方を表現してくれることを、私たちHELLO, VISITSも心から応援しています。

メンターと他の参加者の方々と新しい出会いができて嬉しかったです。ワークショップでは自分自身の目標、夢などについて自由に話し合いができるオープンな環境でした。働く女性として、これからたくさんの選択をしなければならない時代だと思いますが、選択は一つではないと実感しました。家族とキャリアの二つに追求の核を持ち、大事にし、人生を送っていきたいと思います!
中央大学4年生 Mさん

就職活動中ですが、入社する会社を選ぶ評価基準としてはカルチャーフィット、そして女性を支援する会社に入社することが重要と痛感しました。さらに、男女同等性だけではなく、多文化主義と平等を支えることの重要性を実感しました。これからのプログラムのご参加、そしてメンターからの指導を受けるのが楽しみです。
慶應大学3年生 Sさん